冬院試(電子情報)の勉強法

はじめに

私は東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻の2020年度の冬院試を受験したので、その経験に基づき対策の仕方と出題された問題について書きたいと思います。

試験の概要

東大の情報理工の電子情報学専攻の試験科目は以下のようになっています。

  • 英語
  • 数学
  • 専門科目

TOEFL ibtが120点満点、数学が300点満点、専門科目は300点満点です。 電情では英語は合格基準に見られてないです。数学と専門科目の合計が300点超えていれば合格するだろうと言われてます(夏では)。 夏と違い、冬は過去問が公開されていません。

英語

冬はTOEFL ibtのみです。

数学

募集要項には線形代数微積、確率統計の3分野と書かれてます。大問1が線形代数、大問2が微積、大問3が確率統計になっています。冬は電情よりの問題になってました。問題の難易度は大学の教養レベルです。

専門科目

電気電子回路,計算機アーキテクチャ論理回路アルゴリズムとデータ構造,情報通信,コンピュータネットワーク,信号処理,情報理論の分野から 5 題出題すると募集要項に書かれてます。大問1が電気回路or電子回路、大問2が計算機アーキテクチャor論理回路、大問3がアルゴリズムとデータ構造、大問4が情報通信orコンピュータネットワーク、大問5が信号処理or情報理論という構成になっています。5つの大問から3題選んで解答する必要があります。

対策の仕方

英語

上記に書いたように冬院試ではTOEFL ibtだけです。情報理工に結果を1月上旬までに送付する必要があり送付に2ヶ月かかるので、逆算して11月末までにTOEFL ibtを受験しなければなりません。EEICは9月に中間発表があるのでそれ以降にibtを受けようと思いましたが、鉄は熱いうちに打てということで9月末に受けることにしまいました。中間発表が近くにありそっちに労力を割きたかったので、早起きして午前中に1時間の勉強を1ヶ月間継続することにしました。 ibtは、listeningとreadingのみのitpと違い、speakingとwritingも追加されます。この4つのセクションから構成されていて各セクション30点満点の合計120点満点です。 以下にセクションごとの対策方法と使用した参考書を書きます。

英単語

まず英単語ですが一番有名な単語帳を使いました。TOEFLはreadingで学術的文章が出題されるので、それの対策用でした。

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ランク1から4までありますが、ランク2まで暗記しました。全部覚える必要ないと思います。

reading

参考書は買わずにETSが公式に出している下記の問題集からreadingのセクションを抜粋して解きました。実戦対策に時間制限を設けてました。

ETSコウニンガイド TOEFL IBT ニホンゴバン4E | Educational Testing Service, 功, 林 |本 | 通販 | Amazon

listening

YouTubeで毎日CNNニュースを聞きました。あとはETSの公式の問題集を解きました。

speaking

壁に向かって英語で話して練習しました。

writing

参考書に書いてあるテンプレートを暗記しました。参考書の例題とETSの問題で演習をしました。

TOEFL iBT(R) テストはじめてゼミ ライティングの教科書 | 飯島 哲也, Jessica King |本 | 通販 | Amazon

数学

夏と違い、冬院試は他専攻共通の問題でなくなり電情固有の問題になると聞いてました。また、去年に冬院試を受けた人から第2問がかなり専門っぽくなると聞いてました。構成は第1問が線形代数、第2問が微積、第3問が確率統計です。専門科目と比べて数学の重要性は低いと思ったので、試験1ヶ月前から勉強を始めました。分野別の対策と別に、夏の過去問を12年分解きました。(冬の過去問は無いので)

線形

線形の対策はマセマを使って対角化と直交行列までの基礎を抑えました。

Amazon.co.jp: スバラシク実力がつくと評判の線形代数キャンパス・ゼミ―大学の数学がこんなに分かる!単位なんて楽に取れる!: 馬場 敬之: 本

微積

専門っぽくなると予想したので、専門科目の電気回路のラプラス変換を使う微分方程式を証明から公式まで復習しました。

確率

特に対策しませんでした。

専門科目

夏で痛い目にあって専門科目の重要性を理解したので、一番力をいれました。試験の3ヶ月前から対策を始めました。大問5つから大問3つを選択する形式ですが、どれか1つ難しい大問が出ても爆死しないように、学習して大問1,2,3,5の対策をしました。夏は過去問過学習をして痛い目にあったので、過去問中心ではなく復習ベースで行いました。専門科目は忘れやすいので、大体5周してました。

大問1 電気回路、電子回路

大問1は電気回路or電子回路がでます。たまに両方統合されたような問題がでることもあります。 電気回路は、授業ノートの見直しと中間期末の解き直しを中心に行いました。後は夏の過去問を確認程度にときました。

電子回路は、オペアンプ の計算ができれば電気回路の要領で解けるので、オペアンプ の計算の仕方を抑えました。あとは夏の過去問を回しました。

大問2 デジタル回路、コンピュータアーキテクチャ

デジタル回路は授業のスライドの見直しをして、中間期末を解きなおしました。加算器とFSMに力をいれました。夏の過去問も解きました。

コンピュータアーキテクチャは教科書を読み直して1から理解するようにしました。キャッシュ、仮想記憶、パイプラインはとくに力をいれました。教科書の章末問題と夏の過去問も解きました。

コンピュータアーキテクチャ (電子情報通信レクチャーシリーズ) | 坂井 修一, 電子情報通信学会, 電子通信学会= |本 | 通販 | Amazon

大問3 アルゴリズム

アルゴリズムとデータ構造という参考書を中心に勉強してました。参考書に書いてあるアルゴリズムを理解してPythonで書く練習をしてました。参考書を読んでわからなかった時は、ググってwikipediaや他大の講義スライドやAtCoderのスライドを読んで理解を進めてました。夏の過去問を解きました。

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大問5 信号処理、情報理論

信号処理は、2Aの信号解析基礎の授業ノートを見直しました。3Sの信号処理の中間を中心に演習をしてました。夏の過去問を解きました。

情報理論は、2Aの授業ノートと教科書で復習してました。演習は2Aの期末を使ってしました。夏の過去問を解きました。

Amazon.co.jp: 情報理論: 今井 秀樹: 本

出題された問題

数学

大問1 線形代数

線形代数。典型的な固有値を求める問題。後半は分からず半分解いて撤退。

大問2 微積

微分方程式ラプラス変換を使って解くように指示があった。ほぼ、電気回路と同じだったので、かなり内部有利な問題だった。ラプラス変換の証明も出たが、暗記していたので余裕で完答

大問3 確率

大学受験レベルの確率の問題。6割ほど解けた。

専門科目

大問1 not 電気回路 but 制御

電気回路と思いきや、制御の問題だったので、解くのを諦め捨てた。

大問2 デジタル回路、コンピュータアーキテクチャ

(1)~(3)はコンピュータアーキテクチャのキャッシュミスについての知識を問う問題。(3)だけ解けた。

(4)~(6)は前半に関係がなくデジタル回路のFSM。全部解けた。

大問3 アルゴリズム

floatとintの違いを説明。文書の文字数をカウントをする関数を作らされた。オーバーフローについても出題された。後半は、数学の証明問題。全部解けたと思う。

大問5 情報理論

教科書の状態遷移図が丸々出題された。全部解けた。

得点開示

  • 英語(TOEFL ibt):70点(120点満点)
  • 数学:188点(300点満点)
  • 専門科目:206点(300点満点)
  • 面接:60点(100点満点)

ちなみに夏の結果は

  • 英語(TOEFL itp):567点(677点満点)
  • 数学:155点(300点満点)
  • 専門科目:105点(300点満点)
  • 面接:0点(100点満点)(筆記で落ちて面接に進めていない)

専門科目を手厚く勉強したかいがあったなという結果でした。数学も微分方程式ラプラス変換で稼いだ感じがありました。

当日の様子

受験人数は110名ほどいました。大半が留学生ですが。内部は私を入れて5人いました。 試験の手応えはあったが、落ちると留年だし受験者がめっちゃ多かったので、試験終わってから結構不安でした。 合格者は13名でした。(倍率8倍)内部生は全員合格していました。ちなみに合格発表は試験の3週間後でした。(去年は2週間でした)

まとめ

院試は数学より専門科目が重要なので、専門科目を手厚く勉強した方がいいです。冬院試は卒論と重なりメンタル的につらく倍率がくそ高いので、夏に受かった方がいいです。もし院試について聞きたいことがあったらtwitterのDMなどで気軽に聞いてください。