院試に振り回された話(院死)

自己紹介

簡単に説明すると、夏院試に落ちて冬院試に合格した東大4年生です。 夏院試に落ちて人生に絶望していましたが、心機一転、冬院試に合格したおかげでストレートで卒業がすることが決定し、人生の調子が戻りました。

また、本記事は eeicアドベントカレンダー2019 に参加しています。

冬院試のブログをまとめたので、こちらも参考にしてみてください。 naoaki0802.hatenablog.com

学科

私は東大工学部EEICに所属していて深層学習やコンピュータビジョンに興味があったので、4年生には深層学習系の研究室を志望して運良く現在所属している研究室に配属されました。院に行く理由は研究がしたいとかではなく、周りが院進するしモラトリアムを伸ばしたいという意識が低い感じです。

院試受験歴

私は院試を二回受験しました。

  • 1回目 2019年8月 東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻 不合格
  • 2回目 2020年1月 東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻 合格

このように4年生の夏と冬にそれぞれ1回ずつ受験しました。なぜ院試を2回受験したのかを順に説明したいと思います。

試験の概要

東大の情報理工の電子情報学専攻の試験科目は以下のようになっています。

  • 英語
  • 数学
  • 専門科目

TOEFL itpが677点満点(TOEFL ibtなら120点満点)、数学が300点満点、専門科目は300点満点です。 電情は英語は足切り程度にしかならないです。数学と専門科目の合計が300点超えていれば合格するだろうと言われてます。

英語

TOEFLの結果のみです。募集要項にはTOEFL ibtを事情があってどうしても受けられない人のみTOEFL itpを団体受験するように記載がありますが、ほとんどの人がTOEFL itpを選んでました。夏の時は私もTOEFL ibtを個人でわざわざ受験するのはめんどかったので例によってTOEFL itpを選択しました。(冬はTOEFL itpを代用することができずTOEFL ibtのみ)(TOEFL ibtの受験料は3万円だが、TOEFL itpは無料)

数学

募集要項には線形代数、解析、確率統計の3分野と書かれてます。大問1が線形代数、大問2が確率、大問3が確率統計になっています。夏のときは情報理工の他専攻と共通の問題でした。問題の難易度は大学の教養レベルです。

専門科目

電気電子回路,計算機アーキテクチャ論理回路アルゴリズムとデータ構造,情報通信,コンピュータネットワーク,信号処理,情報理論の分野から 5 題出題すると募集要項に書かれてます。大問1が電気回路or電子回路、大問2が計算機アーキテクチャor論理回路、大問3がアルゴリズムとデータ構造、大問4が情報通信orコンピュータネットワーク、大問5が信号処理or情報理論という構成になっています。5つの大問から3題選んで解答する必要があります。

試験対策

6月くらいから周りの友達が院試勉強を始めていたので私もそれくらいの時期から院試勉強を始めました。とりあえずTOEFL itpの勉強と数学の基礎固めを7月中旬までしていました。数学は基礎固めが終わったらひたすら過去問を解きました。英語も文法の参考書や単語帳をやりまくり試験直前は過去問を解きました。 専門科目の勉強は7月の下旬から始めました。私は定期試験は授業に出席せずシケプリと過去問だけ解いて単位を取るという意識最底辺プレイをしていたので専門科目の知識はほぼ身についておらず最初は専門科目の過去問をみてもほとんど解けない状態でしたが、お得意の過去問過学習をすることで過去問の内容は完璧にしたつもりでした。

夏院試の受験

  • 8/6にTOEFL itpがありました。手応え的にはまずまずで550くらいかなという感じでした。
  • 8/19に数学と専門科目の試験がありました。数学はまあ難しく150から180くらいという印象でした。専門科目は傾向が変わり過去問のみしか対策していない私は爆死しました。
  • 8/23 筆記試験の合否発表(夏の電情は筆記試験を通過した人のみが二次の口述試験に進める)すがる思いで番号を確認しましたが私の番号はありませんでした。

このようにして夏の院試に落ちて、院試落ちという不名誉の称号を手に入れました。大学受験で落ちて浪人することはマイナスのイメージを持たれませんが、内部生が院試で落ちることはかなりのマイナスのイメージを持たれるので、私はかなりのショックを受けました。(内部生の合格率は9割ほど)院試に落ちてから自分に劣等感を抱くようになり自信をなくしサークルに行かなくなりました。

落ちた原因

自分なりに落ちた原因を分析しました。

  1. 勉強開始の時期が遅かった
  2. そもそも試験に必要な専門科目を2Aで履修しなかった
  3. 専門科目の勉強が手薄だった
  4. 定期試験をサボりすぎた
  5. 院試の分析が足りなかった
  6. 就活をしていなかった
  7. 併願をしなかった

それぞれ解説しようと思います。

1. 勉強開始の時期が遅かった

6月くらいから始めたと上には書いてますがやる気がでず最初はだらだらやってました。本腰を入れたのは7月からだと思います。

2. そもそも試験に必要な専門科目を2Aで履修しなかった

私は2Aの時は1限に行きたくないという理由で1限の授業は木曜日だけしか履修していませんでした。そのため、院試に必要な信号解析基礎と情報理論は履修しておらず,それらの科目の知識は7月の時点で初見でした。

3. 専門科目の勉強が手薄だった

初見の科目があることでやる気が出ず授業の復習をほとんどせず過去問ローラーだけをしました。専門科目は5問中3題選択ですが、私は3つの分野に絞りました。大問1,2,5です。なぜこういう選択をした理由は、4つ目の分野の勉強は時間的に間に合わないと思ったうえにこれ以上対策するのはメンドイと思ったからです。(大問1と2の傾向が変わり爆死しました)(授業の復習をしていればその傾向の変化に対応できました)(4つ目の分野の勉強をすればよかった)

4. 定期試験をサボりすぎた

3年生の時は授業にほとんど出席せずに学生実験は班の優秀なメンバーに任せて何の理解もせずに単位を取得してました。このせいで4年生になり院試の勉強をするぞってなったときに専門科目の過去問を見たときに何もわからんってなりました。この専門性が身についていないことと、勉強開始の時期が遅いこともあり真面目に教科書や授業の復習をしたら間に合わないという判断をしたので定期試験と同様に過去問過学習をしました。今振り返ると、この過去問過学習という選択が私の院試落ちを決めつけたと思います。(東大工学部は単位認定が緩いので直前に過去問過学習するだけで単位がとれてしまう)

5. 院試の分析が足りなかった

それは専門科目の重要性です。英語はそもそも合格基準に使われていない感じでした。また、過去には数学が35点で受かった人がいるましたが、専門科目はそんな感じの点数で合格している人はいませんでした。専門科目は悪くても120-150点(4-5割)ほど得点していないと合格できないようです。つまり、専門科目には足切りが存在するということです。

  • TOEFL itp 567点
  • 数学 155点
  • 専門科目 105点

これが私の夏の結果です。見ての通り専門科目は4割を切っているので足切りされました。内部生には私と3教科の合計点は変わらないのに専門科目が私より40点ほど高い(足切りラインを超えている)ので合格している人がいました。このように電情では英語と数学は軽視され専門科目は重視されることがわかりました。

6. 就活をしていなかった 7. 併願をしなかった

院試落ちの原因には直結していないと思いますが、未就活院試単願野郎が院試に落ちると来年度の予定が未定になって精神が不安定になります。実際私は自分の学力を見誤り未就活院試単願野郎のまま院試に落ちて4年生の後半はメンタルが不安定でした。まあ理系なので学部で就活する人が圧倒的に少数なので自分も就活すればよかったとは完全には思いませんが、電気系工学専攻などに併願すればよかったとは強く思ってます。(出願代をケチって併願しなかった)

院死してから

まあ就活をしていなかったので、残された道は冬院試を受けるしかありません。幸にも私が志望していた電情は冬院試を実施しているので、院死した8月末に冬院試の受験を決めました。(ほとんどの大学院は冬に院試を実施しません) 念のため冬院試落ちた時のシナリオは考えてました。指導教員には卒論の単位を取ることを勧められたので、卒論の単位を取りつつ、その他の単位を取り消すことで単位不足の理由で留年して学費を抑えるために休学しようと狙ってました。簡単にいうと、休学して翌年度の夏の院試を受けようって感じです。

TOEFL ibt

冬院試は夏よりメンドイです。冬院試では、TOEFL itpを代用することができないので、個人で3万円払ってTOEFL ibtを受験する必要があります。英語の勉強は早めに終わらせたいと思い9月末にTOEFL ibtを受験することにしました。EEICは9月に卒論の中間報告があるのでその準備をしながら、TOEFL ibtの勉強を毎日1-3時間ほどやりました。readingとlisteningのみのitpと違って、ibtはwritingとspeakingもやる必要があるので、私はwritingとlisteningを重点的に対策しました。結果は70点でした。まあ冬院試の日本人受験者の中では平均くらいかなと思いTOEFL ibtの受験はこの1回のみでした。(TOEFL ibtのスコアを上げるために2回受ける人もいる)

冬院試の対策

10月は院死のショックもありなんとなく研究するフリをしていました。11月からは勉強する習慣をつけたいと思って毎日夏院試の過去問を1時間だけ解いてました。(夏の反省をいかしてない)(この勉強は定着せず習慣をつけるため) 12月は院死のショックも和らぎ本格的に冬院試に向けて勉強を始めました。 この5点を頭に入れて対策をしました。

  1. 卒論の出来を諦める
  2. 毎日勉強する
  3. 進捗(勉強したこと)を管理する
  4. 夏の反省をいかす
  5. 同期に相談

1. 卒論の出来を諦める

まあ冬院試(1/28,29)は卒論の提出時期(2/7)に被るし、私にとっては冬院試の方が卒論と比べて圧倒的に重要でした。卒論は提出すれば単位が貰えると聞いたので、私は冬院試が終わったら本格的に卒論を頑張ろうと12月に決意しました。

2. 毎日勉強する

冬院試を受ける人は周りにほとんどいなかったので、孤独に負けないために毎日3-5時間ほど勉強することにしました。また、study plusというアプリで毎日勉強時間を記録してました。周りの同期が卒論に集中している中で1人勉強するのは辛く、勉強時間を可視化することで自分に自信を持たせるためです。もちろん、年末年始は返上してずっと勉強してました。

3. 進捗(勉強したこと)を管理する

excelを使って進捗を管理しました。どの分野をいつにどこまでやったのかをわかりやすく可視化して勉強の効率を上げました。特に専門科目の内容は忘れやすいため、進捗を可視化することで次にどこを復習するかをすぐにわかるので、専門科目の理解と定着の手助けとなりました。

4. 夏の反省をいかす

これが一番重要です。夏で専門科目の重要性がわかったので、専門科目に勉強時間の多くを割きました。電情では、冬院試は夏と違い、過去問が公開されていないので、授業の復習をせざるを得ません。また、夏の数学は全専攻で共通でしたが、冬院試は数学は共通ではなく専攻特有の問題になると先輩から聞きました。(去年度は数学の微分方程式がRLC回路そのままだったらしい)そのため、より一層専門科目の復習が重要になります。特に電気回路に力をいれました。(数学の微分方程式ラプラス変換が出るだろうと思ったため)夏は大問1,2,5のみの対策で逃げ道を用意しませんでしたが、冬は大問1,2,3,5の対策をしてわからない大問があっても爆死しないように逃げ道を作りました。専門科目の勉強は授業の復習をメインにしました。教科書やノートの理解と定期試験の過去問やレポートを解くことに大部分の時間を割きました。夏の過去問はあくまで演習や理解の補助程度に利用することにして、夏と違い過去問過学習はやめました。 数学は1ヶ月切ってから対策を始めました。まず各分野ごとの基礎固めをマセマを用いて1週間ほどで行いました。冬院試は過去問がないので、基礎固めの後は夏の過去問で演習をしました。

5. 同期に相談

研究室同期は夏の院試に合格しているので、自分1人で勉強法を見つけるよりは同期にどういう勉強したのかを聞いた方がはるかに有益です。私は自分が選択する大問4つ全てについてどういう勉強したのかを聞いて参考にしました。実際、授業の復習と電気系工学専攻の過去問も解くことを勧められました。

まとめ

夏院試に落ちて院試落ちという不名誉の称号を手に入れた私ですが、心をいれかえて勉強することで冬院試に合格することでき、人生が回復しました。院試は過去問だけでなく授業の復習をしましょう。授業の復習の方が過去問より何倍も重要です。そして、英語や数学なんかより専門科目の方が圧倒的に重要です。もし院試について聞きたいことがあったらtwitterのDMなどで気軽に聞いてください。冬院試の勉強法や参考書などとその開示結果については別の記事で書きたいと思います。